膀胱炎
女性は男性に比べ尿道が短いため、細菌感染による膀胱炎を来たしやすいことがわかっています。主な症状としては頻尿、排尿痛、残尿感であり、悪化すると血尿になることもあります。まずは水分をしっかり摂取し、まめに排尿することが重要ですが、それでも症状が改善しない場合には抗生物質などの投薬が必要になることもあります。
過活動膀胱
急に我慢することができない強い尿意を感じることを「尿意切迫感」といいます。トイレで下着を下ろす間もなく、我慢できずに漏れたり(切迫性尿失禁)、水の流れる音や食器洗いで水に触れるなどの刺激から尿意切迫感がおきやすくなります。この尿意切迫感があり、さらに日中だけでなく就寝中にも頻尿をともなう状態を「過活動膀胱」といいます。
過活動膀胱では、尿意切迫感や切迫性尿失禁を気にして早めにトイレに行くようになり頻尿の悪循環が生まれます。
過活動膀胱症状スコア OAB-SS
朝起きた時から寝る時までに何回くらい尿をしましたか |
頻度 |
スコア(点) |
7回以下 |
0 |
8回〜14回 |
1 |
15回以上 |
2 |
夜寝てから朝起きるまでに何回くらい尿をするために起きましたか |
頻度 |
スコア(点) |
0回 |
0 |
1回 |
1 |
2回 |
2 |
3回 |
3 |
急に尿がしたくなり我慢が難しいことがありましたか |
頻度 |
スコア(点) |
なし |
0 |
週に1回より少ない |
1 |
週に1回以上 |
2 |
1日1回くらい |
3 |
1日1〜4回 |
4 |
1日5回以上 |
5 |
急に尿がしたくなり我慢ができず尿を漏らすことがありましたか |
頻度 |
スコア(点) |
なし |
0 |
週に1回より少ない |
1 |
週に1回以上 |
2 |
1日1回くらい |
3 |
1日1〜4回 |
4 |
1日5回以上 |
5 |
のチェックを含んだ合計が3点以上だと過活動膀胱の可能性があります。ご相談ください。
どんな症状がありますか?
「突然に尿意をもよおし、漏れそうで我慢できないもしくは漏れてしまう」のが特徴です。例えば、水道で手を洗ったり、外出から帰ってきた時など様々な場面で急にオシッコがしたくなってトイレに駆け込むので、結果頻尿になってしまいます。放っておいても命に関わることはありませんが、著しく生活の質が低下します。
どのように治療しますか?
排尿感覚を少しずつ我慢・延長し、膀胱容量を増加させる膀胱訓練や水分摂取に関する指導を行いながら、内服薬による治療を行うことで多くの患者様に改善がみられます。
骨盤臓器脱(性器脱)
骨盤臓器脱とは
骨盤臓器脱とは、女性の骨盤内にある膀胱、子宮、直腸などの臓器が膣から出てきてしまう疾患です。原因は出産や加齢により、骨盤の底を支える筋肉や靱帯が緩み、臓器が落ちてきてしまうと考えられています。また、過度な腹圧がかかる、肥満、慢性の便秘、慢性の咳、仕事などでいつも重い荷物を持っている方なども骨盤臓器脱発症のリスクを助長する要因といわれています。
落ちて出てきてしまう臓器によって子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤などがあり、1つの臓器だけが落ちてくることもあれば、複数の臓器が落ちてくることもあります。すぐに命にかかわる疾患ではありませんが、生活の質を下げる疾患です。
どんな症状がありますか?
様々な症状があり、陰部にピンポン玉のようなものが触れる、椅子に座るとボールの上に座っている感じがするといった症状の他、トイレが近い(頻尿)・尿が出しづらい・残尿感がある・尿が漏れてしまう(失禁)・便秘などといった膀胱や直腸に関連した症状が出ることもあります。進行すると出てきた臓器を手で押し戻さないと排尿や排便がしづらくなることもあります。また、重力に伴って骨盤内の臓器が膣内に落ちてくるので、朝起きてから午前中は症状が軽く気にならない程度ですが、午後になると悪化し、症状が出てくるという方が多くみられます。これも骨盤臓器脱の症状の特徴といえます。
どのように治療しますか?
骨盤臓器脱の治療には様々な種類があります。年齢、症状や脱出の程度、生活状況などに合わせて、適切な治療法を選択していきます。比較的、程度の軽い人に対しては便秘や肥満への注意、骨盤底筋体操などの指導を行います。すでに生活に支障があるような場合には、膣内に装具を挿入し、臓器が落ちてこないよう支持したり、手術が必要になることもあります。
腹圧症尿失禁
咳やくしゃみ、運動などお腹に力が入ったとき、少量の尿が漏れてしまったという経験のある方もおられると思います。これを「腹圧性尿失禁」といいます。尿をためる膀胱の出口が緩み、骨盤臓器脱と同様に、妊娠・分娩による骨盤底筋の損傷、肥満、加齢などの影響が関係しておこります。
腹圧性尿失禁は、30歳以上の女性3人に1人が経験しているといわれています。特に妊娠後期や産後は多くの女性が一時的に経験しますが、その後は次第に回復することがほとんどです。症状は、お産の回数や肥満、加齢などによって増悪し、日常生活に支障を来たすこともあります。治療について、症状が軽い人の場合、骨盤臓器脱と同様に骨盤底筋体操を行うことで改善が見込め、予防としても効果が期待できます。